2001.10.15初出、 2006.1.20改訂

コノフィツムの育て方 ☆ 関東地方平野部を基準にしております 

 ここ数年、玉型メセンに興味を持たれる方が増えたようで、花屋さんやホームセンターなどでも時折コノフィツムやリトープスを見かけるようになりました。ところが、サボテンと同じ方法で栽培したために、枯らして(腐らせて)しまう方が多いのは残念な事です。単に姿形が愛らしいばかりでなく、寒さにあって徐々に赤く色付く様子、新球を孕んで太った春先の姿、茶色い皮を被って酷暑に耐える姿、そして待ちに待った秋の開花・・四季を通じての変化もまた楽しい植物がコノフィツムです。基本的には大変丈夫な植物ですから、栽培のコツをつかんで是非立派な群生株に仕立てましょう。
 育てるにあたって知っておかねばならない事は以下の3点です。試行錯誤しながら経験を積み、自分に合った栽培方法を見つけて行きましょう。

1.生長期(9月〜5月)と休眠期(6月〜8月)がある(低温期に生長するため、秋〜春に潅水や施肥が必要)
2.生長期には良く日に当て、週に1回程度たっぷり灌水をする(意外に水を好む)
3.休眠期には明るい日陰に置き、乾き過ぎないように月2回程度軽く灌水する(極端な乾燥地には自生していない)

生長サイクルと年間管理概要

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生長/休眠
やや生長
生長
休眠始
休眠
休眠終
生長
潅水
1回/2週
1回/週
 
極少量1回/2週 or 夜ミスト
1回/週
日照
直射日光4時間以上
明るい日陰
直射日光4時間以上
開花期
一部
 
夏咲種
 
ほとんどの種類
植替/挿木
 
適期(早めに)
 

<生長期・9月〜5月>
 休眠中に被っていた皮(旧葉が乾燥し薄皮状になったたもの)が裂けて新葉が顔を出すのが、生育開始のサインです。生育開始と共に開花が始まります。1つの花は、だいたい1週間ほど開閉を繰り返します。秋は年間で一番動きが活発な時期であり、またコノフィツム愛好家が一番楽しみにしている季節でもあります。

植え替えの適期です
 9月〜11月が植え替えや株分けの適期です。寒くなると発根が遅れ、その結果生長も悪くなりますから、早めに作業をしましょう。開花中の株でも植え替えて大丈夫です。

日光浴のすすめ
 生長開始とともに現れた葉(新球)は、翌年の秋まで更新されることはありませんから大事にしてやりましょう。また、翌年休眠に入るまでの変化は外見上ほとんどありませんが、球体の内部では次の葉が育っていますから、十分に日光浴させてやります。上手に管理出来れば、1つの球体内に複数(多くの場合2〜3個)の新球が育ち、毎年2〜3倍に増殖します。休眠前の5〜6月頃腐ってしまう原因のほとんどは、この生育期の日光不足と考えて間違いありません。

低温には強い
 多くの種や園芸品種では、マイナス2〜3℃くらいの外気温で凍ってしまうことはありません。軒下等、霜が当たらない場所であれば、夜間も外に出しておいて構いません。もちろん簡易フレーム等の施設があれば、生育はさらに良くなります。但し、日中密閉してしまうと、かなりの高温になるので注意しましょう。

灌水は週一回
 サボテンの場合、低温期に灌水すると腐ってしまいますが、コノフィツムの場合はそれと反対に、低温期が生長期ですから十分に灌水します。鉢や培養土、置き場所にもよりますが、極寒期を除いてだいたい週1回の灌水が必要です。
球体にしわが寄ってしまうようでは水不足です。灌水量は、普通の草花同様、鉢底の穴から水が出るまでが目安です。液肥を与える場合は、ハイポネクスでしたら2000倍希釈のものを月1回くらいが適当でしょう。


<休眠期・6月〜9月>
 6月ころから球体の色が薄茶色に変色してくると休眠期の始まりです。乾燥し薄皮状になった古い葉を被り、
まるで枯れたようになってしまいます。枯れたと思って捨ててしまう人が出てきても不思議はありません。本当に枯れてしまったものは、球体を押してみるとペシャっと潰れてしまいます。こうなってしまっていたらサヨウナラです。

明るい日陰に置く
 高温を嫌う植物ですから、なるべく涼しく通風の良い場所で夏越しさせます。日光はそれほど必要としないようなので、直射日光の当たらない明るい日陰で過ごさせます。寒冷紗等で遮光(遮光率50〜70%)しても良いでしょう。

灌水は1ヶ月に2回程度、ごく少量
 コノフィツムは、乾燥に耐えられるように進化した植物ですが、あまりに乾燥させると細根はもとより、太い根や茎までもが枯死してしまいます。その結果、生長期に入ってもスムーズに生長を開始する事が出来ず、枯死してしまう場合もあります。その危険を避けるため、月に2回程度、ごく軽く灌水します。培養土が上部から1cm程度湿る程度が良いでしょう。但し、大型の種類(タビ型の園芸品種など)は完全に断水しても平気です。小型種(球体の直径が5mm程度の種類)では、1週間に1回くらい軽く灌水しないと完全に干涸らびてしまいます。潅水の代わりに、夜間、噴霧器で軽くミストをかける人もいます。
 休眠期の断水により花芽形成が促進されるという説もあり、また休眠期の灌水過多は腐死をまねく事にもなりますから、休眠期の灌水には気をつかいます。慣れないうちは完全断水の方が安全かも知れません。栽培環境や植物の種類によっても差がありますから、試行錯誤しながら自分にあった方法をつかんでいくのも楽しいものです。

脱皮をはじめたら徐々に灌水量を増やす
 
種類にもよりますが、8月中旬から9月にかけて、脱皮が始まります。9月になり気温が低くなってきたら、徐々に灌水量を増やします。