2001.10.15初出、 2006.1.20改訂
コノフィツムってどんな植物?

 花屋さんやホームセンターなどの店頭で、ミニサボテンやミニ多肉植物として丸々した植物が販売されているのを見かけたことはありませんか? サボテンにしてはトゲが無く、とても変な形・・・それがコノフィツムやリトープスなどの玉型メセンの仲間です。例外もありますが、大半のコノフィツムは緑色(表面に模様のあるものもあり)なのに対して、リトープスは薄茶色〜灰色をしており、ほとんどのものは表面に模様があります。

 玉型メセンの仲間は南アフリカの岩石砂漠が故郷の多肉植物です。ほとんどの原種は南アフリカに自生しており、ナミビア南部にも若干自生しているようです。年間降水量は、250mm前後で、関東平野部(1500〜2000mm)の約1/6〜1/8という乾燥した環境に耐えるため、高度に多肉化しています。また、表面の色や模様は周囲の土や小石にそっくりで、動物類による食害から身を守るために擬態していると考えられています。さらに、アルカロイドの一種を含んでおり、これも生体防御に役立っているかも知れません。

 雨期と乾期にあわせて生長と休眠を繰り返すため、サボテンと同じように管理していると上手く育てることが出来ず、早晩枯らすか腐らせてしまいます。日本には昭和初期に導入されましたが、栽培方法の普及がいまひとつなためかサボテンのようにポピュラーな存在にはなっていません。生育パターンを覚えれば栽培は極めて容易なものです。2〜6頭くらいで販売されている株を購入すれば、毎年2〜3倍に増殖し数年後には数十頭の群生株になります。開花期の群生株は沢山の花で覆われ、とても見応えのあるものです。

左;コノフィツム(園芸品種「清姫」)、右;リトープス
変な形だけど、どんな植物の仲間?

 日本では花壇などで良く見られるマツバギクに近縁の植物です。植物分類学的にはハマミズナ科(Aizoaceae)に属しています。かつて、ツルナ科、ザクロソウ科、あるいはメセンブリアンテマ科と呼ばれたこともありますから、こちらの名前で覚えている方も多いでしょう。ハマミズナ科の植物は、程度の差はあるものの葉が多肉化して乾燥に耐えられるようになっています。特にコノフィツムやリトープスでは、一対の葉が著しく多肉化し、球のような形になったものと理解されています。この姿形から、玉型メセン(玉型になったメセンブリアンテマ科の意味)とも呼ばれます。趣味家は、一対の葉を「球体」と呼び、「1頭、2頭・・」と数えます。

マツバギクの一種Delosperma cooperi ?)

 所謂「マツバギク」は、本属の他、Lampranthus属, Drosanthemum属等の植物の総称です。同じ「松葉・・」という名前を持つ、マツバボタンと間違われる事が多いようですが、マツバボタンはスベリヒユ科の植物です。花弁の形が随分違いますね。

花蔓草Aptenia cordifolia

 ここ数年、あまり手の行き届いていない(?)花壇や空き地、道路脇などで盛んに繁茂しているのを 見かけることが多くなったように思います。これらの乾燥しがちな場所でも、盛んにつる(茎)を伸ばし、開花し続けます。冬には霜等でダメージを受けるようですが、春からは急速に復活して、7月までには復活し、ツヤのある葉で地面を覆い尽くします。マツバギクのようには一度に開花しないのでちょっと物足りないかも。原産地は、やはり南アフリカです。

栽培は難しい?

 乾期と雨期がある地方の植物ですから、それに合わせた休眠期・生長期のサイクルを持っています。休眠期にはほとんど水を必要としないため、雨を避けられて日当たりが良い場所が確保出来れば、栽培は半分うまく行ったようなものです。その点で、マンションのベランダはこれらの条件にぴったりの場所と言えます。また、水やりも、生長期で毎週1回程度(もちろん1回や2回忘れてしまったところで問題ありません)、休眠期なら月に2回程度と、手間が少なくて済みます(関東地方ですと、生長期は9月下旬〜梅雨入りまで、休眠期を梅雨〜9月中旬とする事が多いです)。出張が多い人や平日に水やりの時間がとれない人でも容易に栽培出来る植物と言えましょう。