コノフィツムの種播き
2001.10.15初出、 2006.1.20改訂

コノフィツムの種播き

種播きの楽しみ
 現在、多くの種類(原種、園芸品種)を通信販売等で入手することが出来ますから、コノフィツムの栽培を種播きから始める人は少ないでしょう。・・・が、少し栽培に慣れて来たら種まきから始めてみてはいかがでしょうか?。発芽から少しずつ大きく生長して行く様子を観察するのも面白いですし、分頭しにくい種類(有窓類に多い)を増やしたり、お気に入りの個体を選抜するには種播きする他ありません。いずれにしても年数や手間がかかるだけに、種子から育てた株が花を咲かせた時の喜びはとても大きいものです。

種まき方法
 種まきを始めてから10年程になりますが、相変わらず試行錯誤しながらやっています。現在のところ適当と思われる実生方法を以下に記します。

1.播種用培養土
 
コノフィツムの実生は他のメセン類に比べて生長速度が遅いため、種播きから1年間は播種用土で育てます。
 1)川砂(コンクリート用のものでも可):サボテン培養土(軽石、バーミキュライト主体のもの)=2:1くらい
 2)芝の目土(赤玉土の小粒より細かいもの):鹿沼土(挿し芽用):腐葉土(5mm目の篩を通したもの)=5:5:1くらい
   必要に応じてバーミキュライトを全体の10%程度混合

2.鉢
 2号ビニールポットを使用。狭い面積に多数を詰め込む事が出来、おまけに安価なのです。素焼き鉢や朱温鉢は乾きすぎるかも知れません。実生が小さいうちは小型コノフィツムと同様、大きな乾湿差には弱いものですから、あまりに小さな鉢は使いにくいかと思います。

3.播き方
 適期は9月〜11月ですが、生長期間を長くとるため、特に冬の保温施設が無い場合にはなるべく早めに播種するのが良いでしょう。これまでの経験では、9月に播種した時に最も良い成績が得られました。
 鉢に培養土を入れる時、鉢にすり切り一杯入れています。月日が経つに伴って培養土表面が徐々に下がるからです。実生はとても小さいものなので、培養土表面が下がると鉢の縁の陰に隠れてしまい、発芽した場所によっては全く日の当たらない実生が出てしまいます。培養土の最上面に細かい軽石を厚さ2〜3mm程度の厚さに敷くと、コケや藻類の発生が抑制されるようです。
 種子はとても細かいものです。播種はあまり密にならないように気を付けます。5mm〜1cm間隔に培養土表面に落とすように播いて行きます。覆土は必要ありません。播種後は鉢を受け皿やトレーに並べ、底面潅水します。
 9月播きですと数日後には発芽が始まり1〜2週間で発芽が揃います。10月以降の播種では低温のために発芽日数がかかるようになりますから、なるべく暖かい場所に置きます。

4.発芽後の管理
 9月の直射日光は実生には強すぎるようで、10月までは遮光するか明るい日陰に置くようにします。実生は球体が小さいため貯水能力はほとんど無いようですし、また根も発達していませんから、培養土が乾き過ぎるとあっという間に干涸らびて死んでしまいます。適度な土壌水分を維持するようにします。
 施肥は液肥を週1
回スプレーで与えます(発芽後から5月まで)。濃度は極力薄めにするのが安全です。私は液体ハイポネクスを1/2000程度に希釈して使用しています。このまま1年間育て、播種翌年の秋に移植します。種類にもよりますが、播種後1〜3年目より開花し始めます。
 親株と同様、5〜6月から茶色い皮を被って休眠に入ります。最初の夏越しは球体がまだまだ小さいですから、乾かし過ぎないように注意します。小型品種と同様の扱いが適当でしょう。

5.問題点
苔の発生
 発芽後、表土、培養土の種類や管理方法によっては苔や藻類が発生しやすくなります。苔は培養土表面を覆いつくし、乾くと硬い板状になります。板状になった苔は厄介で、頭上から灌水しても弾いてしまったり、反り返って実生を根こそぎ持ち上げてしまいます。表土を過湿にしないことがポイントです。


播種方法の一例